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エルフ先輩の園芸手記

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原題: 精灵学姐的园艺手记

エルフ先輩の園芸手記 — 物語のイラスト
作品紹介のカバー画像 · AIで制作したイラストです。原作の公式表紙ではありません。

園芸部の部員は二人だけ。部長の月見風は、温室で一シーズン分の夜咲きの花を育てている。外には決して見せない花だ。新入部員の中村春は、ある日残業で水やりをしていたとき、彼女が帽子を取るのを見てしまう。飾りではなかった。本物のエルフの耳だった。風は言う。「耳を人間に見られたエルフは、見た者を庭の一部にしなければならない」。春は花鉢に植えられるのだと思った。ところが実際には、観察手記を一緒に書くよう引っ張られただけだった。

オリジナル小説です。登場人物と出来事は架空です。

紹介の編集: 黄果ショートドラマ · 更新日:

物語

序章 二人だけの部活

園芸部の部室は、役目を終えて捨て置かれた古い温室だった。ガラスには、水染みが地図を描いている。

中村春が扉を押し開けて入ったとき、見えたのはつばの広い帽子をかぶった先輩が、花に水をやっている姿だけだった。水音は、ラジオ体操よりも軽い。

「入部届は、じょうろの横に置いて。」月見風は振り向くことすらしなかった。「うちは二人だけ。土を運ぶのはあなた。生かしておくのはわたし。」

春は申請書をじょうろの下に挟んだ。温室は温かく、秘密まで脱ぎ捨てたくなるほどだった。第一章 夜咲きの花

夜咲きの花は、十時を過ぎてからしか開かない。色は、水で薄めた月のようだ。

風は、外に見せることを許さない。「人の目には耐えられないの。」彼女は言った。「人が多いと、花は耳を隠してしまう。」

春は比喩だと思っていた。ある日の居残りで、先輩が帽子を脱ぐのを見るまでは。帽子の下にあったのは髪飾りではなく、髪に沿って伏せた一対の尖った耳で、薄い皮膚の下の血管が緑がかっていた。

じょうろが床に落ちた。夜咲きの花は一斉にすべて開き、驚いて目を覚ました眼が並んだようだった。第二章 見られた耳

「人間に耳を見られたエルフは、見た者を庭の一部にしなければならない。」風は帽子をかぶり直したが、声は震えていた。

春は両手を挙げた。「どうか鉢に植えないでください。まだ試験があるんです。」

風は一瞬固まり、声を上げて笑った。笑い終えると、また怒った。「そういう意味じゃない。それは……残ってほしい、ということ。観察して、水をやって、秘密を守って。庭には、秘密を知りながら、それを剪定してしまわない人が必要なの。」

「じゃあ、土に応募します。」春はじょうろを拾い上げた。「土は、耳のことを外に漏らしたりしません。」

尖った耳がつばの下でわずかに動き、その言葉を水のように浴びたかのようだった。第三章 庭の一部

観察手記の一ページ目は、風が書く。日付、湿度、夜咲きの花の開閉時刻。二ページ目は、春が書く。先輩は今日、帽子をまっすぐにかぶっていたか。

「このページは科学じゃない。」風は手を伸ばし、破ろうとした。

「このページは園芸です。」春は紙を押さえた。「園芸には、育てる人を世話することも含まれます。」

温室のガラスが、夕陽を小さな切れ端に切り分けた。風はそのページを破らず、脇に一行だけ足した。土壌の状態――安定。少し口が多い。

夜咲きの花は、三十分早く開いた。春はそのことも記し、備考に書いた。心拍と関係があるかもしれない。第一章 水やりの心拍

水やりは、心拍を聴くこと。風は春の手を鉢の側面に押し当て、水流と根を聞き分けるよう教えた。

聞き分けたのは、彼女の脈だった。二人は同時に手を引っ込め、じょうろの水が靴にこぼれた。

「手記には、これを書かないで。」風は言った。

「もう書きました。」春は正直だった。「土壌の状態の後ろに。」

風は帽子を深く押し付けた。尖った耳がつばを押し上げ、小さく、隠しきれない弧を描いた。第二章 先輩の秘密の土壌

先輩の秘密の土壌は、実は故郷から持ってきた一袋の灰だった。彼女はそれを、エルフの木が倒れたあとの粉だと言った。どんな種でも、人間の学校で冬を越せるようになる、と。

「少し分けるわ。」彼女は灰を春の掌に注いだ。「これであなたも庭。」

春は灰を、観察手記の挟み込みに収めた。温室の扉が風に小さく鳴り、三人目が部に入りたがっているようだった。

二人はそろって入口を見た。誰もいない。夜咲きの花が香りだけを廊下へ送り、園芸部のために、いちばん静かな部員募集をしているようだった。

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