オリジナルの物語設定
神曲奏界 金
読み始める →原題: 神曲奏界 金
挿絵。https://www.bilinovel.com/novel/1672/113652.html
オリジナル小説です。登場人物と出来事は架空です。
紹介の編集: 黄果ショートドラマ · 更新日:
物語
## 挿絵
## 序
俺の名前はレオ。精霊の探偵だ。
人は俺のことを「トラブルメーカー」と呼ぶ。
誰かが厄介ごとに巻き込まれているのを見ると、
どうしても見過ごすことができないからだ……。
「お願い! 妹を助けて!」
「任せてくれ」と引き受け、調査に乗り出した俺は、事態が少々厄介な方向へ転がっていることに気づく。依頼人のメイリンとともに訪れたコーレアル神曲学院で、事件の射程が想像をはるかに超えていると知った――これは連続誘拐事件なのか? それどころか、死体まで見つかった? おいおい、どういうことだ! 若い女性、神曲楽士、契約を持たない精霊。この三つの共通点は、いったい何を意味する? さらに思いもよらなかったのは、事件の裏に歪んだ悲劇が隠されていたことだ!
男はいくら強気でも、女の涙には抗えないものなんだよな!
## 序章
人は俺のことを「トラブルメーカー」と呼ぶ。
まあ、いい。時には本当にやりすぎることもある。
だが、いつも騒ぎを起こしているとか、お節介が好きだとか言うより、いっそ俺はトラブルそのものの化身だと言ったほうが早い。
正直、その言い方には少し残念な気持ちになる。
たとえば、こういうことだ。
厄介な仕事を一件片づけ、「いつものバーで一杯やってから帰るか」と思いながら夜道を歩いているとき、突然、誰かの悲鳴が聞こえたら――君ならどうする? しかもそれは、夫婦げんかで飛び出すような金切り声ではなく、生きるのも死ぬのもつらい、悲痛な叫び声だ。
見て見ぬふりをするのが、いちばん賢いやり方だろうか?
耳を塞いで聞こえなかったことにして、一杯やる気さえ失くし、家へ駆け戻って布団に潜り、毛布を頭からかぶって、「聞いてない、聞いてない、俺は何も聞いてない」と独りごちる。
それが、いちばん賢いやり方だろうか?
どこかで、見知らぬ女が殴られ、犯され、殺されようとしているかもしれない。まったく手を出さないことが、正しい生き方だと言えるだろうか?
そんなわけがない!
あんなことを容認できるのは、そうする以外、何ひとつやる勇気のないやつだけだ。
だが俺は、そういう人間じゃない。
なら、まず悲鳴のした場所へ駆けつけるのが当然だろう?
俺がわざわざトラブルを招いているわけじゃない。トラブルのほうが、俺を見つけてくる。
つまり、その、まあ……俺はあの夜、彼女と出会った。
その女の様子は、漫画に描かれるどん詰まりそのものだった。
人気のない古い街で、彼女は薄暗い路地の奥へと追い詰められ、逃げる道を失っていた……。
## 第一章 N人の涙は禁忌を破る
1
将都トールバス、ルシェセリス市の西郊外にあるカデナ区には、形容詞が少なくない。
たとえば、旧市街。
たとえば、浮浪者の区域。
たとえば、犯罪地区。
まあ、言いすぎかもしれない。カデナ区は評判ほど大げさではないが、犯罪率が他の地区より高いのは事実だし、ここに住む人間が金持ちでないのも事実だ。
もちろん、風紀も乱れている。
路面に黒い染みがあれば、たいてい誰かの血痕だ。使い終えたコンドームが道端に落ちていても、誰も気にしない。
ここでは、麻薬は煙草より手に入りやすく、銃器は酒より手に入りやすい。
一時間に一度は誰かが殴られ、三日に一人は道端で死に、週末の夜には一人が殺される――そういう街だ。
俺たちがこんな街に事務所を構えたのには、理由がある。
いや、「理由があった」と言うべきだろう。
ゴルディは、この街の人々のために本気で力になりたかった。警察すら受け付けない揉めごとを片付け、一人でも多く救いたがっていた。
彼らは貧しく、教育も受けられず、育った環境も良くない。それでも、とても善良な人々だ。
「ここだ。」
安い、住居と店舗が混在するビルだ。
ところどころコンクリートの剥げた歩道から、七段の階段を上れば玄関になる。階段の脇の鉄扉の奥は店舗だが、この三年、一度も営業したことはない。
「ここ……なの?」
俺のそばで……
## 第二章 盟約者を奪う
1
ヨルドン川は、将都トールバスを南北に貫く三大河川のひとつだ。
源流は北のソルテ山に発し、マルート川と平行して南へ下る。中央街区を直接蛇行し、ヘゲダ市の南端で支流のシルズ川と分かれ、クムリ港からアロニア海へ注ぐ。
スドウ・イレーネの遺体は、その二キロ先、ユドノマキ市とマナカダ市の境で発見された。ちょうど、河川が将都高速道路の高架をくぐるあたりだ。
俺は橋の上で、路肩にバイクを停めた。
大型のバイクだ。
スタンドを立てると、西へ傾き始めた夕日が、銀色に光るエンジンへきらりと反射した。
さっき橋を渡っていたときは、片側三車線の幹線道路を走っていた。
頭上には高速道路、橋の下ではヨルドン川がさらさらと流れている。水質は悪くないが、河口に近いせいで、川面はどんよりした空のように見えた。
俺は欄干に寄り、前方を見つめた。
川の両岸は雑草が茂り、範囲もかなり広い。横長の空き地が、そのまま先へ延びているかのようだ。両側の堤防が歩行者の立ち入りを禁じているのか、人影はひとつもなかった。
もっとも正直に言えば、川の両側はほとんど工場と倉庫だ。こんな場所を散歩しに来る人間もいないだろう。
そしてスドウ・イレーネは、こんな場所に捨てられていた。
「十八人も、か……」
橋の欄干に肘を預けた俺は、息を吐いた。
イレーネのような例がすでに出ている以上、残りも合理的に疑っていいはずだ……。
## 第三章 歪められた絆
1
アレクシアのかわいいミニカーが去るのを見送ってから、俺はバイクにまたがり、病院を後にした。
午前のうちに、一度ホテルへ戻るつもりだ。
バイクは地下駐車場へ滑り込み、専用の駐車枠に収まった。
俺は燃料タンクに掛けてあったサドルバッグを外した。
背負い紐のない袋を二つ、幅の広いベルトでつないだ構造だ。ベルトの部分をタンクやサドルに掛ければ、バッグは左右ひとつずつ、バイクに積める。
もともとサドルに掛けるものなので、名前も「サドルバッグ」という。
何か持ち運ぶときには、これが手放せない愛用品だ。バッグとして使うときはベルトを肩に掛ける。そうすると、袋は胸の前と背中にひとつずつ下がる。
俺はエレベーターに乗り、最上階を目指しながら、ポケットから二つ折りの小さな紙片を取り出した。
紙には、あの奇妙な図形が描かれていた。病院の前でアレクシアと別れたとき、手帳の別のページに同じものを描き、破り取って渡してくれたものだ。
入り組んだ楕円で、どう見ても意味がわからない。
それより重要なのは、どこかで見たことがあるような気もすることだ。
被害者だけでなく、事件の当事者ですらない俺まで知っている――つまり、ごくありふれた図形である可能性が高い。たとえば、レオラバーガーのあの商標のように。
だが、監禁現場の近くで「バフィ・レオラ」を見たという証言が出たとしても、手がかりにはならない。レオラバーガーの店舗はどこにでもあり、大通りを歩いていて見ないことは……。
## 終章
ニケン市警局には、精霊課が置かれていない。
だから捜査はもとより、嫌疑のかかった精霊を拘留するときさえ、他市の警局にある精霊課の施設を借りなければならない。
俺がトールバス市警の精霊拘留所へ放り込まれたのは、まさにそのためだ。
この拘留所は、床も壁も天井も、鉄格子にまで精霊文字が刻まれている。
拘留期間は一週間。
そのあいだにも、何度か事情聴取を受けた。だが一週間後の朝、鉄格子の向こうから俺を迎えに来たのは、見慣れた警官ではなかった。
二人とも、俺にはかなり顔なじみだ。
「おはよう。」
嫣然と笑ったのは、スーツ姿の女性だった。
「少しは懲りた? 金髪さん。」
人間の男なら一目で惚れるほど美しい、俺の顧問弁護士が、苦笑しながら言った。
今日も濃い水色の髪を高くまとめ、白い頭がまぶしい。
「まあ、少しはな。」
俺は鉄格子越しに、彼女へウィンクした。
ただし、その傍らには、例の件を問い詰めるためにもう一人が来ていた。
「お前は本当にのんびりしてるな! 何度牢屋に放り込まれたらわかるんだ?」
眼鏡の向こうで顔をしかめている、気の毒な男。マトリ・マタリスキ監察官だ。
「お前の監察官になってから、俺の勤務評価がどれだけ下がったか知ってるか?」
そりゃ、当然だろう。
マトリ監察官は、クレメント事件のときから俺の監察官を務めている。それ以来、俺の日常の素行を監督する役目だ。場合によっては指導する立場にも立つ。だが……。
## あとがき
「レオが主役の話、読みたいなあ~」
そう言ったのは、実は編集長だった。
『神曲黒』――すなわち神曲奏界ダークネスシリーズ第四巻『暗黒三角』の原稿が上がって、間もないころのことだ。
彼は、あの本で初登場したレオガラを、とても気に入っていたらしい。
「あいつは主役が張れるキャラだよ!」
そうだろうか?
俺はそれからしばらく考えた。たぶん一ヶ月ほど経ったころ、ふとレオというキャラクターを「理解」した――俺が「見た」のは脇役としての彼ではなく、主役としてのレオだった。
「前に話してくれた件、あれ、書けます。書き方がわかりました。」
「ほう? じゃあ、枠をひとつ空けておくよ。」
「は?」
「書こう! レオの話を!」
「書くって、誰が筆を執るんですか?」
「え? もう、もちろん君だよ!」
時期は、西遠二〇〇七年一月。
そう、GA文庫の編集長とは、そういう調子の人物なのだ。
こうして俺は、『神曲黒』の外伝とも言えず、かといって『神曲金』のような独立シリーズとも呼びがたい、奇妙な作品をひとつ書き上げた。
これが『レオの物語』だ。
それ以外に、どう説明すればいいのかわからない。
ほかのドラマ
この物語と同じジャンルの作品はありません。下にあるのはサイト上のほかのドラマで、本物語の映像化ではありません。