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少年天草のドジな呪文

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原題: 少年天草的秀逗咒语

少年天草のドジな呪文 — 物語のイラスト
作品紹介のカバー画像 · AIで制作したイラストです。原作の公式表紙ではありません。

# 少年天草のドジな呪文 ## 挿絵 > https://www.bilinovel.com/novel/561/114125.html ![](https://img3.readpai.com/0/561/114125/18681.jpg) ![](https://img3.readpai.com/0/561/114125/18682.jpg) ![](https://img3.readpai.com/0/561/114125/1868……

オリジナル小説です。登場人物と出来事は架空です。

紹介の編集: 黄果ショートドラマ · 更新日:

物語

## 挿絵

## 第一章 愚かな人間

あの頃のことを、話そう。

季節の移り変わりが、永遠に続いていくように感じられた、あの頃。楽観と悲観が矛盾せず、同じ場所にあった、あの頃。

あの頃、僕たちにとって、この世界と戦ういちばん有効な武器は――愚かさだった。

僕は高校二年の男子だ。「普通の高校生です」と言いたいところだけれど、実際の見た目は、そこまで普通でもない。名前は天草。もちろん、本名じゃない。本名は柳原心太。問題は、父がつけてくれたこの名前にある。父――天之介は、まわりの人に、うれしそうに説明していたらしい。「名前は『心太』と書いて、本当は『心』と読むんだ」と。心太が寒天の別名だということを、父はまったく知らなかった。母を筆頭に、親戚や友人たちがみんな、その名前はだめだと言った。それでも父は、この名前を押し通した。きっと、間違いを指摘されて、恥ずかしくて腹を立てたんだと思う。僕の父は、そういう人間だ。そうそう、親戚のなかで「『心太』と書いて、本当は『心』と読む」ことに賛成したのは、父の母、つまり僕の祖母だけだったらしい。本当におせっかいだ。

高校に入って、最初の授業。担任の先生が「柳原寒天か。ずいぶん変な名前だな」と言ったところから、僕のあだ名は天草に決まった。念のため言っておくと、天草は寒天の原料だ。天草をどうやって寒天にするのかは、また次に説明しよう。

それより先に、友達のことを話しておかなければならない。いや、今すぐでなくてもいい。ただ、あいつは今、僕と……

## 第二章 愚かな輪

1

「おい、尻を拭くな!」口を開いたのは悟だ。僕たちは、相変わらず「不眠症」にいた。

「何?」僕は聞いた。

「だから、うんこしたあとは、尻を拭くな!」

「いや、普通は拭くだろ。」

「でもさ、たまに、どれだけ拭いても紙に何かつくこと、あるだろ?」

「確かにあったな。最後には尻が痛くなる。」

同意を求めて小亜のほうを見ると、「うちのはウォシュレットだから」と言った。

「とにかく。」反論もせず、悟は続けた。「なんか、尻ぜんぶがうんこで、いつまで拭いても終わらない。あー、いったいどうなってるんだ。」

「理由を聞かれても、僕にはわからないよ。」

「じゃあ、誰に聞けばいいんだ?」

「うんこ。」そう言ったのは小亜だ。

「小亜が『うんこ』って言った、小亜が『うんこ』って言った。」悟が大げさに騒ぐ。

「小学生か。」

「だって、あの小亜が『うんこ』なんて。」

「あー、うんこ、うんこ、もううるさい。」

一生分のうんこを、言い切ってしまったような気がした。

「元気になったね。よかった。」夏穂が、椅子の背もたれに寄りかかって言った。

「うん。」僕はいやらしく笑って答えた。こんなに素直な高二の男子も、悪くない。

あの衝撃的な事件が起きてから、もう一ヶ月が経っていた。つまり、僕でさえ、こうしてバカな友達たちとくだらない話ができるようになるまで、一ヶ月かかったということだ。しばらくは悪夢を見続け、寝言を言い、真夜中に飛び起きることもあった。あの楽観的な輝麦酒でさえ……

## 第三章

1

食事のトレイが、配膳車の上に山と積まれていた。病院の夕食は早い。僕が放課後に着いたときには、もう夕食のあとだった。

「あら、小天。来たのね。」

祖母はまた、僕と父――つまり自分の子ども――を取り違えているようだ。でも、元気はよさそうだった。何かあって病院に呼び出されたときとはまるで違って、祖母が笑っているのを見ると、僕も嬉しかった。

「顔色がよくないわね。」祖母は僕の顔をじっと見て言った。

「ああ、そうかな。」鉄の椅子を引き出して座る。

「どんなことでも、私に言いなさい。話しただけで、楽になることだってあるのよ。」にこにこと笑う。それだけで少し癒やされた気がして、つい余計なことを言ってしまった。

「あの、変なことを聞くんだけど。もし、もしおばあちゃんが、命を狙われていたら。」

しっ、と祖母は指を唇に当てた。

「ここでは、そんな話をしちゃだめ。」

「あ、うん。」

そうだ。もし、の話じゃない。祖母は本当に、自分が狙われていると思っている。

祖母はおびえたようにあたりを見回し、震えていた。

「ごめん。もう言わない。あの、ちょっと相談したいことがあるんだ。」

僕は必死に話題をそらした。

「あの、好きな人ができた。」

こんなことを言うつもりはなかった。祖母の気を引こうとして、うっかり口が滑った。

「あらまあ。」でも、その作戦はうまくいったらしい。祖母が話を受けてくれた。「それはよかったわね。おめでとう。」

「いや、おめでたいって話でもないんだけど。」

僕は、この前うちで起きたことを、全部話した……

## エピローグ

晴天。

晴れの夕方、生ぬるい風が吹いていた。嫌でも、あの日のことが思い出される。

あの日、いきなりいろいろなことが起きた。一生のうちに起きる大きな出来事が、全部あの日で終わってしまったみたいだった。だから僕は、あの日のこと、あの日僕の身に起きたすべてのことを、半年以上が経った今日になっても、まだ整理できないでいる。

あの日、夏穂は消えた。

空と大地を埋め尽くす仮想人格と一緒に、消えた。

あれから僕は、夏穂に一度も会っていない。どういうことなのか、わからない。僕は思う。僕は願っている。あれはギコ・マックが、僕の願いを叶えてくれたのだと。彼女が今、どこかで元気に暮らしていますように、と。

あの日、僕はいちばん大切な人と、永遠の別れをした。

僕の祖母だ。

あの日の深夜、祖母は亡くなった。静かに眠りにつくように、旅立ちの途についた。危篤の知らせを受けて、僕は父と一緒に病院へ行った。

頭のなかには、あまりにも多くのものが、乱れて流れていた。

まともに考えることができず、実際、僕は少しも悲しくなかった。涙も流さなかった。通夜があり、葬式があり、たくさんの人にあいさつをし、あの役立たずの親父に代わって、人が死んだときにやらなければならないいろいろな手続きを済ませ、時間は忙しさのなかで流れていった。その結果、僕は今になっても、まだ悲しさを感じていない。

そうだ。もう一つ、幸いなことがあった。山城千夏――殺された娘の復讐のために呪殺を申請した山城素敵の母親が、僕に会いに来た。呪殺の申請は取り消した、と言った。最初は、誰だかわからなかった。あのときは怨みを抱いて……

## あとがき

みなさん、こんにちは。牧野修です。

普段は、人はどう生きるべきか、というような小説ばかり書いています。だからよく、「残酷すぎる」「道徳が足りない」「子どもが真似したらどうする」「子どもが泣きやまない」といった具合に叱られます。今回も、電撃文庫で書いてみないかと誘われたとき、「うん、神に凌辱された少年が妊娠する話」と言ったら、叱られました。

だからこの物語は、少年が妊娠する話ではありません。

何を書くべきか、いろいろ考えました。でも、どうしても思いつかなかった。ただ、あの頃自分の頭のなかを満たしていた妄想、「俺は世界の王だ」というような題材を、書いてみたかっただけです。

今の僕も、十分バカではあります。でも、中学から高校までの六年、僕は紛れもないバカでした。紛れもないバカとは何かと言えば、バカなのに自分をバカだと思わず、自分は本当に頭がいい、天才だなどと思い込んでいることです。

今思い返すと、度を越した愚かしさが、頭のなかを旋回しています。

幸い、バカ仲間がいたので、バカなりになんとか生き延びられました。バカではあったけれど、バカな友達に救われたのです。

あの馬鹿さ加減には少し気恥ずかしい。ただ、一日に一升瓶三本分のエネルギーを搾り取られていた、あの頃のことを思って、この小説のあらすじを書きました。

というわけで、この小説は、バカな主人公(とはいえ、あの頃の僕よりはずっと賢い)と、バカな友達たちが、ずっとバカみたいなことをし続ける話です。ただ、バカにもバカなりのやり方があって、として……

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