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欠けた都市の機械月姫

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原題: 残缺都市的机械月姬

欠けた都市の機械月姫 — 物語のイラスト
作品紹介のカバー画像 · AIで制作したイラストです。原作の公式表紙ではありません。

# 欠けた都市の機械月姫 ## 挿絵 > https://www.bilinovel.com/novel/1424/117242.html ![](https://img3.readpai.com/1/1424/117242/52514.jpg) ![](https://img3.readpai.com/1/1424/117242/52515.jpg) ![](https://img3.readpai.com/1/1424/117242/……

オリジナル小説です。登場人物と出来事は架空です。

紹介の編集: 黄果ショートドラマ · 更新日:

物語

## 挿絵

## 序章

目を開けたら美少女。これ以上、眠気を吹き飛ばす状況はないはずだ。

どれほど重い低血圧でも、一瞬で目が覚めるだろう。

かつて拓人がそう嘆くたび、幼なじみには白眼を向けられてきた。

真理を述べているだけなのに、実に残念な話である。

とはいえ、桜井拓人はそれほど寝坊の常習犯というわけでもない。

今年から高校二年。普段はほとんど遅刻もしない。

だから今日、寝過ごしたのはただの偶然だ。

「あー……」

ベッドの上で上半身を起こし、ぼさぼさの髪と寝ぼけた目のまま、呆然と呻く。

何度か目をこすって、ようやく視界が開けた。

そして、ありえない光景を目にした。

「……地球?」

十秒、ぼうっとする。

「地球!?」

眼前に浮かんでいるのは、地球と呼ばれる惑星だった。背後は宇宙。群青の海と白い雲が、ひどく美しい。

本当に地球だ。

目を開けて美少女、よりも刺激が強い。一瞬で眠気が消えた。

「おはよう、エレクト。あのさ……ここ、俺のベッドだよな?」

つまりエレクトは人間ではない。

動くのは口だけ。とりあえず言葉で抵抗を試みる。

月面都市ムーン・ダリア。

「とにかく、なんでエレクトが俺のベッドに潜り込んでるんだ……?」

機械化された都市群と、中世ヨーロッパ風の街並みが混在する宇宙基地だ。

月面都市で拓人の世話を担当している。

おかげで頭は急速に冴えた。落ち着いてから、拓人はゆっくりと息を吐いた。

ふくら……

## 第一章

「え? 財布にお金がない。嘘だろ、なんでだよ!?」

会計を済ませようとしていた拓人は、すっかり狼狽していた。

周囲の壁にはきらびやかな美少女ポスターが飾られ、レジには今期覇権アニメのフィギュアが並んでいる。

レジに置いてあるのは、今日発売のライトノベルと漫画だ。

優しそうな女性店員が困った顔で拓人を見つめている。しかし拓人が空っぽの財布をいくら睨んでも、急にお金が湧いてくるわけがない。

放課後、得意満面でアニメショップまで来たのに、会計の段になって財布の中身が消えていた。

「すみません。あるはずなんです。ちゃんと持ってきたはずで……」

財布を逆さに振っても、何も出てこない。紙がひらりと落ちたときにはほっとしたが、それはファミレスの割引券だった。くそ。

肩を落として失望する拓人と、哀れむように彼を見る店員。

レジ前には、言葉にしがたい気まずさが漂っている。

突然、拓人の制服の校章が光った。直後、どこからか電子音混じりの少女の声が響く。

「『ご主人様、三日前に全部使い切ったことをお忘れですか?』」

店員は愕然として周囲を見回した。だがレジの前にいるのは、拓人と店員だけだ。

一方、少女の声は気にした様子もなく続ける。

「『深夜アニメの最終回に傷ついて、布教するからと言いながら前シリーズのDVDを衝動買いしたでしょう。だから今、お金がないのです』」

「あ、そうだった。サンキュ、シェリー。真相解明。……なわけあるか! いきなり喋るなって、いつも言ってるだろ!」

……

## 第二章

「『では、ご主人様。これからの方針を相談しましょう。今後、どうなさるおつもりですか?』」

ピンの姿をしたシェリーが、軍服の左胸から話題を投げてくる。

拓人は今、エレクトが用意した客室にいた。

リリィの一件のあと、拓人は中央区域にある中心塔へ連れてこられた。

宇宙基地時代の統括司令部であり、月面都市の中央制御施設を兼ねている。

常時のメンテナンスが必要なため、今は月の少女たちの住まいとなっており、帝国軍監察官である拓人も、そのまま中心塔に居を置くことになった。

拓人のために用意された客室は、馬車と同じ中世風だ。

壁には風景画が飾られ、床は白と黒のタイル。窓辺には高級そうな赤のカーテンと、天蓋付きのベッドがある。

だがよく見ると、風景画はホログラム投影だった。エレクトによれば、白黒のタイルは重力制御リアクターだという。そして窓の外は、もちろん宇宙空間だ。

見た目は中世、中身はやはり未来世界。

ベッドだけは普通のベッドだ。天蓋が付いている点を除けば、二十一世紀にもっとも馴染む。

拓人はベッドの縁に寄りかかり、「うーん、そうだな」とシェリーに答えた。

部屋にいるのは拓人とシェリーだけだ。エレクトは案内を終えると、「これから歓迎パーティーの準備をしますので、少々お待ちください」と一言残して出ていった。

拓人はしばらく考え、 schließlich覚悟を決めてシェリーに告げた。

「とにかく、二十一世紀に戻る方法を探そう」

「『それが一番の肝ですね。リリィさんは反乱勢力の役を演じていただけですが、実際に何が起きるかは予測でき……

## 第三章

翌日。拓人は貴賓室のベッドにうつ伏せになり、落ち込んでいた。

起きてからずっとこのままだ。

「『もう、いつまで落ち込まれているのですか。賢者タイムが長すぎます』」

シェリーが、ハンガーにかけられた軍服から、うんざりした声を出す。

忠告を受け、拓人はのろのろと顔を上げた。

「……俺が、勝手にエレクトにキスしたからだ。もう顔を合わせられない」

「『落ち込んでいる理由が、本当にそれだけなのですね……』」

そのあとシルヴィアが『姫様を回収しに来たわよ』と言って現れ、いろいろな意味で和解したあと、エレクトを彼女に引き渡した。結局エレクトは最後まで目を覚まさず、それきり言葉を交わしていない。

そのせいで、時間が経つほど『取り返しのつかないことをした』という思いが強くなり、拓人は落ち込んでいた。

「『そこまで気に病む必要はありませんよ? 実際、エレクト様も嬉しそうでした。起きてしまったことを後悔するより、考えるべきことは他にあるはずです』」

「考えるべきこと? ……ああ、帰還の手段か。確かに昨日は何も見つからなかったな」

「『違います。ご主人様の気持ちのことです』」

予想外の指摘に、思わず言葉が詰まる。

それを見越したように、シェリーは続けた。

「『キスを後悔するより、キスをした理由を考えるべきです』」

「……シェリー、やめろ。その話はしたくない」

「『あなた、エレクト様のことがお好きなのでしょう?』」

「……」

「『私の推測では、出会ったときに一目惚れです。ご主人様がずっとエレクト様を気にかけていた。それの何が悪いのですか?』」

拓人は支……

## 第四章

——夢のようだ。たぶん夢なのだろう。なにしろ、自分が自分の前に立っている。

場所は宇宙船のコックピット。計器とモニターが並び、中央には紗の窓がある。

だが紗の向こうは宇宙空間ではなく、目映い光の世界だった。

「嘘だろ、意識収束系がマイナス値だと!? こんな事故、起きるわけがない! エリア・スクルドに取り残される。まさか俺が星屑になるのかよ!?」

八つ当たりのように、拳で計器を叩く。

「ジェラルドの野郎の仕業だろ……くそ、代役じゃ満足できねえのか」

拓人は『あ……』と腑に落ちた。

目の前にいるのは自分——桜井拓人ではない。ロイ・グレイヴスだ。

奇妙な夢だった。

拓人は意識だけの存在となり、コックピットの中を漂っている。ロイ少尉は計器とモニターを凝視していた。

「とりあえず、ワームホールは開けそうだ……だが位置係数が確定できない。こっちのタイミングは完全に無視か……よくて、通常空間に戻った瞬間に墜落する」

その言葉を聞き、現状が勝手に理解できた。

これはおそらく、星間輸送機が墜落する前の出来事だ。このあと輸送機は月へ墜ち、いつか未来転生が起き、そして拓人はエレクトと出会うのだろう。

ロイ少尉は、ふう、と息を吐いた。

長く、深く、魂を絞り出すような長いため息。

「まったく、俺の運命もここまでか。まあ……こんなものだ。さんざん殺し、壊し、しぶとく生きてきた。ついに自分の番だ」

顔を上げ、深く座席に沈み込む。ゆっくりと……

## 終章

次元重力炉が停止して十二時間後。

かつて月面都市と呼ばれた場所は、ほとんど廃墟と化していた。

エネルギー領域が消失し、都市全体がほぼ宇宙空間に晒されている。大気は霧散し、宝石のような建物は朽ち、豊かな牧草も穀物もすべて消えた。

都市は欠けた。月に満ち欠けがあるのと同じように。

原形を留めているのは、中央区域の宮殿周辺だけだ。

残された機械衛星が局所的に領域を作り、有害な宇宙放射線を防いでいる。

だが宮殿本体は、攻勢機動艦の通過によって、崩壊寸前だった。

その中で噴水だけが無事で、拓人はその縁に座っている。

生命維持装置のバックパックを背負い、強心薬の注射針を体内に刺し、止血剤を肌に貼り、その上から包帯を巻いている。

星間輸送機の墜落から教訓を汲み、エレクトたちが用意した、人間用の救命装備一式だ。宮殿内にその装備があったからこそ、彼女たちは月面都市を終わらせることを選んだ。

拓人は舞踏会のフロアでエレクトを看取ったあと、救命装備を使って、破滅の十二時間をかろうじて生き延びた。

「シェリー、次元重力炉の稼働率はあとどれくらい残ってる?」

空を仰いで問いかけると、ノイズ混じりの返事が返ってきた。

「『およそ四パーセントです。やはり、駆動できるのは数機の機械衛星が限度でしょう』」

次元重力炉には、まだわずかな稼働率が残っている。シェリーがエレクトに代わり、狭い範囲でエネルギー領域を張っていた。

希望はまだ消えていない。

今のシェリーには、エレクトほどの位相変換はまだできない。だが、対……

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