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猫泥棒と木曜日の台所
読み始める →原題: 偷猫贼与星期四的厨房
# 猫泥棒と木曜日の台所 ## 第一話 偽りの家族 > https://www.bilinovel.com/novel/918/39034.html ウェブ翻訳版。軽之国より転載。 翻訳:花粉小v注意報 スキャン提供:失誤小忍 ————— 母は家を出ていった。 メモも残さず、この件についての知らせも何ひとつ残さなかった。ふだんどおりに暮らし、食事をし、くだらないことで腹を立て、面白いテレビ番組を見てけらけら笑っていたのに。ある日突然、帰ってこなくなり、あっという間に姿を消してしまった。 僕は別に、反抗期の子どもなんかじゃないのに……
オリジナル小説です。登場人物と出来事は架空です。
紹介の編集: 黄果ショートドラマ · 更新日:
物語
## 第一話 偽りの家庭
スキャン提供:ミス・シャオレン
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母親が家を出ていった。
書き置きひとつ残っていない。この件について、何の知らせも残っていない。彼女はいつもどおり暮らしていた。食事をし、つまらないことで腹を立て、おもしろいテレビ番組を見てけらけらと笑っていた。それなのに、ある日、突然帰ってこなくなり、あっという間に姿を消した。
私は反抗期の娘というわけでもない。ふつう、母親が家を出ることなんてあるだろうか。
ひどく衝撃を受けはしたけれど、だからといって状況が変わるわけもなく、私たちはこれまでどおりの暮らしを続けていた。ここでの私たちとは、私と阿孝のことだ。私は十七歳の女の子で、阿孝は五歳の男の子。父親は違うけれど、同じ母親から生まれたのだから、とりあえず姉弟ということになる。友人の早樹の言い方を借りれば、「異父同母」だそうだ。なるほど。
母親がいなくなっても、私はまったく困らなかった。
母親ではあるのに、彼女は何ひとつできなかった。料理も洗濯も掃除も、全部苦手だった。インスタント食品が好きで、家の中がどれほど汚れていても気にしない。三日も風呂に入らないことさえあって、いつも同じ服を着ていた。家事はほとんど、私が一手に引き受けていた。父親に頼もうにも、父親という存在はとっくの昔に消えていたから、自分でやるしかなかった。
「これはお前の訓練だ」……
## 第二話 恋
季節は春から夏へと、ゆっくり移ろっていった。日差しは次第に強さを増し、木々の緑もいよいよ濃くなる。爽やかな風が木々を渡るとき、葉の先端がきらきらと光を散らし、光と緑のさざ波のようだった。こういう季節の変わり目が、私はとても好きだ。春から夏へ、夏から秋へ、秋から冬へ、そして冬から春へ。どれも、心から楽しんでいる。
ほんの半歩だけ踏み出した、あの感覚——。
ちょうど衣替えの時期で、紺のセーラー服から白のセーラー服に替わった。半袖のセーラー服を初めて着たとき、だいたいの感触は想像できていたのに、その軽さに驚いてしまった。まるで、何かの一部を捨ててしまったみたいに。振り返ると、壁にかけた紺のセーラー服が目に入った。昆虫の抜け殻のようだった。こうして脱皮を繰り返していけば、私だって少しずつ大人になっていくのかもしれない。
母親がいなくなったあとも、私はいつもどおり学校へ通った。学校が嫌いというわけでも、好きというわけでもない。ただ、ちょっとした風邪くらいなら、やっぱり行くのだろう。
自分でも、自分がえらいと思う。
ほかに目的はあるにせよ、学校へ行こうとする気持ちそのものは、褒めていい。そう自分に言い聞かせながら、自転車のペダルに足をかけた。漕ぎ出した瞬間、ペダルが急に軽くなっているのに気づいた。そうだ。昨日、健一くんが来たとき、チェーンに油を差してくれたんだった。……
## 第三話 少年の悩みI
僕は美月が好きだ。
彼女が僕の名前を呼ぶだけで、特別にうれしくなる。よく考えてみると、これはずいぶん奇妙なことだとわかる。母親もたまに健一くんと呼ぶけれど、そのときはいつも「勘弁してくれ」という気持ちになる。それに母親の呼び方には、わけのわからない甘ったるさがあって、聞くたびにぞっとする。母親は今でも僕を子ども扱いしている。その感覚は、十年前からちっとも変わっていない。けれど僕はもう十七歳だ。七歳の子どもみたいに扱われたら、やっぱり納得できない。だからときどき、彼女にひどく冷たくする。なのに母親は、それで一度も落ち込まない。母親という生き物は、本当にすごい。ボクサーみたいに、何度叩きのめされても、しぶとく立ち上がる。ああ、母親のことは、どうでもいいんだけど……。
とにかく、僕は美月が好きなんだ。
知り合ってまだ一ヶ月もたっていないのに、なぜこんなに好きなのか、自分でもわからない。
たぶん、顔がかわいいからだろう。美人とまでは言えないけれど……とにかく、僕のタイプなんだ。
でも、美月はほかの人を好きになってしまった。
家庭のある、ある先生を。
よりによって相手が中年の教師だなんて、ひどすぎる。そのうえ、その先生には妻がいる。あんまりだ。彼女が中年のおじさんを好きになるなんて、想像もしていなかった。それじゃあ、僕にチャンスなんてない。なにしろ僕は、まだ十七歳の小僧なんだから。僕は……
## 第四話 苦難の箱
災難は、いつも突然やってくる。
生みの父親は、何の前触れもなく急に死んだ。二人目の父親も、ある朝、起きたときにはもうどこにもいなかった。母親の家出も同じで、私はまったく心の準備ができていなかった。
母親が消えたとき。
「ああ、またこれか」
私はそう思った。
またしても、とても突然に、あの瞬間が降りてきた。
がらんとした家にいても、少しも慌てないでいられるのは、この感覚をよく知っているからだろう。単に慣れたのではない。内側から外側まで、徹底的に、完全に理解しているのだ。現実というものは、「赤信号」という遊びにそっくりだ。どれほど警戒していても、どれほど素早く「止まれ」と叫んでも、背後の人はいつも、ゆっくりと近づいてくる。そして、驚く暇もないうちに、現実がもう背後に立っていることに気づく。
世界とは、そういうものだ。
少し前、夜遅くにテレビをつけたら、あるおじさん——かなり有名な俳優らしいのに、顔も名前もまるで覚えがない——が、こんな話をしていた。「いやはや、風呂場で伸びをしていたら、力を入れすぎて、急にくしゃみがしたくなったんですよ。まずいとは思ったんですが、結局我慢できずに、くしゅん。その瞬間、腰の骨が『カッ』と鳴って、痛くてたまりませんでした。皆さんも気をつけてください。伸びをしているときに、くしゃみなんかしないほうがいいですよ」
人生とは……
## 第五話 青Sの瞳孔
私は学校をさぼった。子猫の身体が、とても弱っていたからだ。一歩たりとも、そばを離れるわけにはいかなかった。そのうえ、二時間おきにミルクを飲ませなければならない。学校へ行ってしまったら、子猫は餓死してしまう。一日じゅう、私は休みなく子猫にミルクを与え続けた。休むときも自分の部屋ではなく、居間のスプリングソファで眠った。眠っているあいだも、二時間ごとに目覚まし時計で起こされる。
子猫の具合はよくないのに、ミルクがとてもおいしいものだと、もうわかっているみたいだった。ガラスのストローを口もとに当てると、自分から急いで吸い口をくわえる。
「子猫の様子はどう?」
午後、健一くんから電話がかかってきた。
「ちょっと元気が出てきたみたい。ミルクをすごく飲むの」
「じゃあ、少しは希望があるね」
「うん」
ずっと家にいたので、私は洋風の寝間着のままだった。まぶしい陽射しが、南の窓から差し込んでくる。暖かいというより、暑いと言ったほうが近い。この光と、穏やかに流れる風と、空の群青が、ゆっくりと初夏の気配を帯びはじめていた。
「今、子猫は何してる?」
「寝てるよ」
「かわいい?」
「すごくかわいい。かわいくてたまらない。ねえ、陽が子猫に当たると、顔の白い産毛がきらきら光るの」
ウェットティッシュで身体をやさしく拭いているうちに、これがとてもきれいな白い野良猫だとわかった……
## 第六話 少年の悩みII
僕は負けを認めた。
恋なんて、本当に手に負えない。一方的に振り回されて、つまらないことでわけもなく喜んだり悲しんだりする。どうすればいいかわかっているのに、どうしても自分を制御できない。ときには、恋愛なんてものがなければよかったのに、と思うことさえある。そうなら、生活はこれまでよりずっと穏やかだっただろう。
とても不思議なことだけれど、たった今、全能の神が僕の前に現れた。
「では、お前の一生から恋をなくしてやろう。どうだ?」
もしそう聞かれたら、僕はきっと慌てて首を横に振るだろう。
この提案には、全力で反対するに違いない。
本当に、恋なんて、ひどく理不尽なものだ……。
けれど、別の角度から考えれば、その理不尽さこそが、とても貴重なのかもしれない。論理に従って事を運べば、あらゆることを処理できるのかもしれない。でも僕は、そういう人間じゃない。早く寝たほうが身体にいいとわかっていながら、わざと夜中まで起きている。試験が目前なのに、わざとあちこちで遊んでいる。関わらないほうがいい相手だとわかっていながら、わざわざ関わってしまう。そういう経験をたくさんしてきたからこそ、こういうことも、実はとてもおもしろいのだと知っている。
この世のあらゆるものには、生きている意味がある。少し前、テレビである有名な生物学者がそう言っていた。これといった取り柄のない動物が、危機に陥ったときにはいつも……
## 第七話 猫泥棒
自分が間違っていることはわかっている。筋が通らないこともわかっている。子どものたわごとにすぎないこともわかっている。それでも、過ちを犯した自分に、頼み続けたい。結局、もう決心したのだ。自分を止めるつもりはない。
計画は、整然と進んでいる。
まずは、子猫の好みを調べること。種類によって味の好みは違い、ドライフードしか食べない猫もいれば、缶詰のキャットフードしか食べない猫もいる。フードの種類を間違えれば、計画はあっさり失敗する。
おばさんに見つかれば警戒されるかもしれないので、わざわざ真夜中にこっそり家の前まで行き、玄関脇の皿に盛ってあるキャットフードの種類を確かめた。ドライフードなのか、缶詰なのか。何粒かをポケットに忍ばせた。背後では、健一くんがそわそわと立っていた。夜にひとりで出かけるのが心配で、「だめだめ」と言いながら、結局ついてきたのだ。
翌日、私はひとりで近くの日用品店へ行き、そのキャットフードの出どころを調べた。予想以上に簡単で、店員に見せるだけで、どの種類かがわかった。赤い、そのキャットフードを一袋まるごと買った。合計九百四十円。貧乏な私には、とても高い買い物だった。でも、やむを得ない。念のため、缶詰のキャットフードも一袋買った。
餌の用意が済んだら、次は個体……
## 第八話 母
ところが、母親が突然帰ってきた。
そのとき私は、居間で目玉焼きとパンを食べていた。学校から帰ったばかりで、腹は空っぽだった。テーブルには、スーパーのチラシが何枚か置いてある。奥歯でパンをゆっくり噛みながら、赤ペンで丸をつけて印をつけていた。火曜日は、このスーパーMaの値下げ日だ。ここのもやしは、いつでもとても安い。一袋たった十円。水曜日は、丸悦株式会社のスーパーの肉の値下げ日。一律二割引き。ただ、もともと値段が高いので、二割引きでもほとんど安くならない。私の狙いがひとつだけある。豚肉だ。これだけは値段が妥当だ。豚肉百グラムが九十八円。しかも二割引きだから、今なら八十円で買える。それなら悪くない。とにかく、今週は隆義スーパーの創業記念で、昆布の酢の物が百四十八円、キャベツが五十円、牛乳が百八十円。卵が七十八円……チラシに並んだ値段を見ているだけで、頭がくらくらしてくる。私はひどく興奮していた。来月の食費を前借りしてでも、できるだけたくさん買おう、と思った。
そう考えながらパンを噛み、牛乳をがぶがぶ飲んだ。顔に貼ったばんそうこうの端がかゆくてたまらず、手を伸ばして掻こうとしたとき、玄関の開く音がした。最初は阿孝が帰ってきたのだと思った。けれど、そのあと廊下から聞こえてきたのは……
ほかのドラマ
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