オリジナルの物語設定
世界線観測部の放課後
読み始める →原題: 世界线观测部的放学后
星野夜一は、たった三人の世界線観測部に入部した。部室の古いモニターには「もしあの日、遅刻していなかったら」という分岐が表示される。ある日、彼は画面の中で屋上で死んでいる自分を見た。そして二つの世界線のヒロインが、同時に現実の部室の扉の前に現れた。すべての分岐を救おうとする観測部は、最終的にどちらか一台のモニターを消さなければならない。
オリジナル小説です。登場人物と出来事は架空です。
紹介の編集: 黄果ショートドラマ · 更新日:
物語
序章 遅れてきた世界線
星野夜一が遅刻したその日、世界線観測部のモニターが灯った。
画面にはこう記されていた。彼が時間どおりに着けば、階段の踊り場で落ちた鍵を拾う。遅刻すれば、鍵は排水溝へ転がり落ち、部室は未来の部員をひとり失う。
彼は扉の前に立ち、その一文を見つめ、遅刻を最後までやり通すことにした。排水溝から、鍵のちゃりん、という音が聞こえてくる。世界が拍手しているみたいだった。第一章 三人だけの部室
部室にいるのは三人だけ。部長の鏡花、副部長の白雪、そしてたった今、遅刻に選ばれた夜一。
「第一則。」鏡花はモニターを叩いた。「自分を観測するな。第二則、観測してしまっても、見なかったふりをしろ。第三則、放課後は必ずモニターを消せ。さもないと、世界線が部室を結節点にしてしまう。」
夜一はうなずいた。すでに自分の名前が画面の隅で一瞬光ったのを見てしまい、すぐ視線を天井へずらす。天井には輪になった水染みがあり、もう一本の世界線の地図のようだった。第二章 屋上の死亡予告
屋上の死亡予告が現れたのは、水曜日のことだった。
モニターは、夜一が十七時四分に柵の外側から消えると示していた。分岐は二つ。引き寄せられるか、引き寄せられないか。引き寄せる者は、一方の線では鏡花、もう一方の線では白雪。
「だから自分を観測してはいけない。」鏡花は画面の明るさを落とした。「観測は、予告を招待状に変えてしまう。」
それでも夜一は、十六時五十分に屋上へ上がった。風が強い。誰かがリハーサルをしているみたいだった。第三章 二台のモニター
二台のモニターが部室へ運び込まれた日、部室の扉は同時に二度叩かれるようになった。
鏡花は左から、白雪は右から入ってきて、二人とも言った。「わたしが、あなたを引っ張る。」夜一は真ん中に立ち、自分が二通の手紙に折りたたまれた気がした。
「残せるのは一台だけだ。」自分の声がそう言うのを、彼は聞いた。
二台のモニターが同時に、同じ顔を映した。彼の顔。屋上で、生きていて、かつ生きていない。第一章 ヒロインが同時にノックする
ヒロインが同時にノックする、という出来事は、死亡予告よりも部誌に書きにくかった。
鏡花は麦茶を、白雪は救急箱を持ってきた。二人は互いの手提げを見て、それから夜一を見て、ふっと同時に笑った。
「観測部は解散する。」鏡花が言った。「結節点を、ずっと人に開けておくわけにはいかない。」
「なら、二台とも残しましょう。」白雪は救急箱を置いた。「わたしたちが観測するのは世界であって、誰が残るべきか、じゃない。」第二章 観測部解散通知
解散通知はいかにも正式に印刷され、学校の印が押してあった。夜一はそれを紙飛行機に折り、部室の窓から飛ばした。飛行機は二つの世界線の風のなかで二機に分かれ、グラウンドの上でまた一機に重なった。
「まあ、成功ね。」鏡花が評した。
モニターの光が、ゆっくり弱くなっていく。誰かが結節点のプラグを半分だけ抜き、もう半分は抜くにしのびなかったみたいに。終章 放課後は、まだ光っている
放課後、部室はまだ光っていた。ただ、その光は夕日のもので、画面のものではなかった。
三人は椅子を重ねた。夜一は扉に紙を一枚貼った。観測終了、日常開始。
屋上の柵は、まだそこにある。彼は近づかなかった。鍵はあとから排水溝より引き上げられ、錆びて、とてもきれいな失敗になった。
彼らはそれを、部室のキーホルダーにした。どの扉も開けない。けれど、放課後は開けられる。
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